EMAとSMAの違い

2020-02-11

前回の記事でMACDについて説明しました。その中で出てきたEMA(指数平滑移動平均)についてもう少し詳しく説明します。MACDの反応が早いと言われる理由の一つが見えると思います。

SMA(単純移動平均)とEMA(指数平滑移動平均)

まず9日間の終値を仮に設定し、それに対するSMAの値とEMAの値をあらかじめ計算した表を準備しました。これをもとにしてEMAの特徴をつかんでいきます。

SMA:Simple Moving Average(単純移動平均)

上の表から8日目を三日目とした3日間の移動平均を算出します

6日目終値+7日目終値+8日目終値の合計を3で割る 
= (150+160+90)/3 = 133 ※小数点以下四捨五入

このように単純に合計してサンプル数で割るだけです。

EMA:Exponential Smoothed Moving Average (指数平滑移動平均)

こっちは終値を使わずにEMAを足していきます。そして当日(8日目)の終値を2回足します。なので分子のサンプル数が4つになるので4で割ります。

6日目のEMA+7日目のEMA+8日目終値+8日目終値 
=(137+146+90+90)/4=116 ※小数点以下四捨五入

上記の通り8日目のSMA133に対しEMAは116となりました。

EMAの特徴

上記の結果からEMAは直近の価格に比重を置いて計算していることがわかります。そしてEMAはその過去のEMAを積み上げて算出するので過去に直近価格に比重が置かれた平均値の積み上げであることもわかったと思います。

上の例では最終価格90円により近いのはSMAの133ではなくEMAの116であることがわかります。

EMAとSMAをチャートで比較

では最後にEMAとSMAをチャートで表示してみます。下の表は実際のNY・Dowの日足チャートです。

12日のEMAを黄色で、12日のSMAを水色で表示させました。同じ12日平均線なのに値動きが激しい時はかなりずれることがわかります。特にチャートの右側の方ではそれが顕著に現れていると思います。

SMAは使えないのか?

ではSMAよりEMAばっかり使えばいいのでは?という疑問が出てきます。しかし実際に多く使われているのはSMAではないかと思います。これはシンプルだからこそ長期のトレンドを確認するのに有効であったり、短期で使用する場合もローソク足との位置関係で相場環境を認識するのに役に立ちます。

例えば下のチャートの赤い丸の部分をご覧ください。水色のSMAはローソク足と完全に離れています。この場合は少し行き過ぎなので戻ってくるのではないか?と考えることもあります。このチャートではたまたま戻ってきていますがこのようにローソク足との位置関係から相場環境を認識し売買する「グランビルの法則」的な売買をする方にはむしろSMAの方が好都合な時があると私は思います。

 

SMAの弱点をカバーしたMACD

相場の環境認識の面ではSMAはスタンダードだし非常に有効に使えます。多くのトレーダーが見ているということも重要な側面です。

その一方でSMAを使った売買サインは中短期の期間設定の組み合わせでは遅れて出てくることが多く、短期の組み合わせだとダマシが多くなるなど売買サインとして使うのは難しいと個人的には感じています。

MACDはEMAとシグナルを使って売買サインが早く出るように設計されています。もちろん相場に100%はないのでMACDにもダマシがありますし、週足、日足、時間足、どの機関のチャートを使うのかで戦略も多岐にわたります。しかし個人的にはMACDは相場の行く先を推測するには有効なインジケーターだと思います。


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