リーマンショックの時のダウの値動きを検証する

2020-02-29

コロナショックの今週は記録的な1週間となった

前回の記事「新型コロナ相場はどこまで下がるのか?」では2018年以降の大きな調整局面4か所を比較しながら今回のコロナショックでどのくらいまでの下落を想定しておかなければならないか心の準備をしておきましょうと書きました。

NYダウ先物では先週金曜日の終値29,003ドルから昨日28日金曜日の終値25,548ドルまでなんと3,455ドルの下落が発生。直近高値の29,582ドルから昨日の安値24,683ドルまでだと4,899ドルの値幅。前回記事で紹介した2018年10月から12月のブラッククリスマスまでで記録した5,355ドル幅に近い状況。これが13週間かかったのに対して今回はたったの1週間でここまで下落したというスピード違反的な下落です。

今日の日経新聞の記事でも週間下落率12%は2001年9月の米同時テロ直後の下落局面(14%安)や、1987年10月のブラックマンデー発生時(13%安)に並ぶ下落記録になり、米メディアによると調整局面入りまでの日数は史上最速と掲載されていました。

景気後退局面になることも想定しておく

ここまでくると東京オリンピックやアメリカ大統領選挙後に起こるだろうと想定していた景気後退局面はより早くやってくるかもしれない、という心構えが大切になります。

我々TradeBeginnersのメンバーは最初から景気後退局面を見越して売り戦略をとっていますので慌てることはありません。しかしここまでスピードが速すぎると「戻りを売る」という基本戦略の「戻り」がこなくて傍観しているということも発生します。普段使っている売買シグナルが機能しなくなることもあるので十分注意しましょう。

また急落の後は絶好の買いの場面になりますがこちらも陰線続きだと押し目も見えず拾いに行けない。「落ちてるナイフに手を出すな」という相場の格言があります。買い方は落ちてるナイフが地面に落ちたのを確認してから拾いに行きましょう。

これだけの急落が発生した以上、元に戻るのは容易ではないと考えます。景気に悪影響が出てくるには時差があります。ということは良いニュース(新型コロナのワクチンが開発されたなどのような)が出てきて株価が一時的に上がったとしても、そのあと実体経済への悪影響が数字になって明らかになることでまた株価は下がり、結果として景気後退局面は”今が始まり”である可能性も頭に入れておくことが必要です。

トレーダーは予想屋ではない

とはいえ大統領選挙を控えたアメリカの政権与党がこのまま放置するわけもなく、なりふり構わず景気対策(株価対策)を実施してくることは当然考えておかなければなりません。

しかし我々トレーダーは予想屋ではありません。予想が当たっても実際にトレードで利益を出せなければただの評論家もどきです。

常に上下両方の動きについて準備し対策を考えておくことが重要です。そしてわからない相場には入らないという選択が必要です。そして取引ルールを守ってトレードすることは言うまでもなく重要です(※取引ルールをなぜ守らなければならないかは別記事作成予定)。

サブプライムローン危機からリーマンショックまでのチャート

ここからの上下の動きを想定するにあたり、過去の値動きを知っておくことは重要です。

前の記事で2018年以降の調整局面での値幅と期間を検証しましたが、今回は2008年に発生したリーマンショック前後のNYダウ・月足チャートを見てみます。以下は2004年以降の全体像です。
※チャートはTreadingView社のものを使用しています。

上のチャートからリーマンショック時期の部分を抜き出したものが以下です。

サブプライムローン危機が発生してからリーマンブラザーズの破綻を経て株価が底を打つまで1年8か月

その間の高値14,195ドルから底値6,466ドルまでの期間1年6か月。値幅で7,729ドル54%の下落

2007年の10月高値から2009年2月までの月足本数17本のうち陽線はたったの二本

これが経済危機が来た時の動き方の一つです。他にもいろんな危機が過去起きてますが今回もし経済危機が来た時にはこのくらいのことが起きてもおかしくないほど今の金融相場には多くの爆弾要因があることは頭にいれておいてください。

月足、週足を必ず確認すること

普段は週足、日足、4時間足、1時間足を見ている方が多いと思いますが、上の図を見てお分かりの通り、月足が最も重要になってきます。ちょうど明日から月足が1本増えます。3月の月足が陽線になるのか陰線になるのか毎日確認しながらトレードに活用しましょう。


 

■新型肺炎でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りします。どうかこの状況が早く解決しますように。