世界恐慌など過去の暴落相場にコロナショック相場を当てはめてみる

Covid-19の拡散が加速しています。全世界の感染者数は1日でざっくり10%程度増えている状況。Lockdown(都市封鎖)が各国で始まる中、さらなる経済の停滞は避けられそうにありません。

そんな中、今まではコロナショック相場をリーマンショック相場と比較していたトレーダーも、今度は世界恐慌との比較をはじめているのではないかと思われます。

今日は世界恐慌、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショックの時の NYダウ(DJI)の 相場の数字をコロナショックに当てはめてみた結果を記したいと思います。

多くのトレーダーが今後どこまで落ちるんだろうと戦々恐々になっていると思いますが、このような客観的な数字を当てはめることで心構えを持っておくというのは大事なことかもしれません。(ちなみに予想ではありません。予想は各自でお願いします。)

過去の暴落相場の下落率及び底値までの期間

以下は世界恐慌、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショックの時の最高値を付けた日から底値を打つまでの期間、下落率を示したものです。

過去の暴落相場の下落率及び底値までの期間一覧
Date: Tradingview

 データはTradingView社のDJCFD価格を使用。現物価格とはほんの若干の差があります。例えば世界恐慌になる前の高値は381.17ドルですがここでは386.10となっています。
 また世界恐慌以降平均すると10年ごとに大きな暴落がありましたがここでは年代が現代に近い方から有名な暴落相場の3つを抜粋しました。

今回のコロナショックはまだ歴史的最高値から5週間程度しか経ってないのに下落率ー36%を記録しているスピードに改めて驚きを感じます。それとともに世界恐慌のー89%という数字がいかに凄まじいものであったかもわかります。

一方でブラックマンデーは底打ちまでの期間が短く長い下げ相場にはつながらなかったこともわかります。しかしそのほかは底を打つまで1年以上かかっていることがわかります。そこから元の価格に戻るまで1,2年もしくはそれ以上かかったのです。

過去の暴落相場に現在の価格を当てはめてみる

これら4つの暴落相場の下落率と底値を打つまでの期間を本日時点の現在のDowの相場に当てはめて、想定下落幅、価格、底打ち日をシミュレーションしてみます。以下の表です。

過去の暴落相場の下落率及び底値までの期間をあてはめてみた

世界恐慌の下落率を当てはめるとダウ平均は3,108ドルという極端な数字になりました。当時の投資家やトレーダーの苦しみはいかほどだったかと思います。

そのほかの下落相場に当てはめてみた場合、現在価格19,000ドル台はまだ下値余地があるとみてもよさそうです。ただどんな下落相場も一直線に落ちていくわけではありません。

たとえば世界恐慌は約3年弱かけてー89%まで落ちましたが最初の暴落こそ今のコロナショックと同じように急落していますがそのあとは上がっては下げて上がっては下げてを繰り返しています。

実際のチャートを見てみましょう。

世界恐慌・チャート(1929年)

世界恐慌チャート: World Economic Crisis Chart 1929

世界恐慌の時はー89%に達するまで約2.8年(約87か月)かかっています。しかし一直線ではないことがわかります。何度も上下を繰り返しながら下降トレンドを形成しました。

しかし初動に注目してみると1か月でー45%落ちていることが確認できます。チャートの赤い点線の部分です。ほぼ一直線ですので今のコロナショックに似ています。

ブラックマンデー・チャート(1987年)

ブラックマンデー・チャート:Black Monday Chart

次にブラックマンデーのチャートです。こちらの暴落は激しかったですが長い下落トレンドにはなりませんでした。2年後の1989年8月11日には暴落前の最高値まで戻ってきました。

この急落相場で注目すべきは1987年10月5日から15日までの2週間でー39%もの下落が発生したことでしょう。この2週間はチャートのとおり一直線。今のコロナショックのチャートに似ています。株価を10倍にするとなんとなく今のDowの価格帯とかぶってきます。

ITバブル崩壊・チャート(2000年)

ITバブル崩壊・チャート:dot-com bubble chart

ITバブル崩壊はブラックマンデーの時と違って長引きました。世界恐慌のチャートと同様何度も下値を切り下げていくという買い方には厳しい相場となりました。底値を打つまで2.7年は世界恐慌の2.8年とほぼ同じ期間です。今回のコロナショックが長引くとすればこのようなチャートの形になってもおかしくないということですね。

リーマンショック・チャート(2007年)

リーマンショック・チャート:Lehman Shock Chart

そしてリーマンショックのチャートです。

まずリーマンショックとはリーマンブラザーズが破綻した日(2008/9/15)から始まった暴落相場をさすことが多いですが私はその引き金となった2007年8月のサブプライムローンショックからだと思っています。この時はがっつり相場に寄付させていただいた苦い思い出があるので鮮明に覚えています。

今回の4つのチャートは高値の起点をいずれも直近の歴史的最高値としていますので、リーマンショック相場の最高値も2007年10月の14,198ドルとさせていただきました。

まずはじめにリーマンショックが起こる1年前からサブプライムローン危機により株価は下がり始め、完全な下落トレンドを作っていたのがわかります。ちなみにこの期間のドル円は124円台から9か月で95円台になりいったん110円台まで戻したものの、リーマンショックで90円台まで急落しました。買い目線から抜けられなかった当時の私は大損をするはめになりました。

そしてリーマンブラザーズの破綻のニュースが飛び込んできて相場は崩壊。ダウは2008/09/15の高値11,416.45ドルから同10/10の25日間でー31%下落しました。この時のチャートの形が今のコロナショックのチャートと似ていると言われています。形もほぼ同じですね。

大底はどこなのか?

多くのトレーダーが早く大底になってほしいと願うのがこのような急落相場です。そしてどこが大底なのか探し始めます。

しかし誰にも大底は読めないのです。

上記の4つのケースでも世界恐慌では初動もきつい下げだったけどその後も何度も上下を繰り返しながら9割近くの値を消した相場もあれば、ブラックマンデーのように急落はしたけれど初動以上は下落しなかった相場もあり、ITバブルでは何度も下への急落を繰り返し、リーマンショックみたいに初動(サブプライムローン危機)以上に1年後のリーマンブラザーズ破綻の方が大変なことになった事例もありました。

様々な事例があるのはその時世界が置かれている経済環境・金融環境が異なるからです。テクノロジーも違います。

ただほぼ共通することは一度このような急落が発生した以上は1年から2年は上下を繰り返しながら下がることが多いということです。

出来高を読め

相場の大底はわかりませんが一旦どこで反発しそうかのヒントはあります。それは出来高です。

相場が反転する時は出来高が急増することが多いです。特にセリングクライマックスで顕著になることが多いです。しばらくは普段より注意深く出来高も観察していきたいと思います。

今回のチャートには出来高も含めています。またMACDも含めています。このページを見られておられるあなたの検証に役立てばと思います。

なお、これらのチャートはTradingViewのものを使用しています。 過去のデータをさかのぼるのにはかなり便利で動作も軽いです。私は有料プランなので価格帯別出来高も見ることができますが無料プランでも結構使えます。(無料プランでは広告がちょっと邪魔になるのですが・・・) 興味のある方はこちらからどうぞ。

現在のコロナショックのチャートを確認

さて最後に本日2020年3月22日現在のダウのチャートを確認したいと思います。

現在のDowのチャート/Current chart of Dow

一直線に落下している相場、過去チャートにもありましたね。ただ一つ違うのは最高値から一直線に落ちてきたことでしょうか。

現時点で最高値から-36%。これだけ過去の下落率を見てきたらまだまだこんなもんじゃないだろうとも思えてきます。しかし相場は上下しながらトレンド方向に向かうのでこの第一波はどこかで止まります。

出来高は急増していますが一度裏切られています。しかし出来高から見ると第一波のセリングクライマックスが近そうな気もします。まずはナイフが地面に落ちてバウンスするのを確認したいところです。

また思惑的な話になりますがトランプさんが大統領に就任した時の株価を現在下回っています。次に見える節目は出来高が一気に増えてきたトランプ相場初動(トランプさんの大統領選挙勝利後の上げ相場)の起点価格17,800ドル前後でしょうか。トランプ陣営にとっては大統領選挙が終わるまでは下回りたくない価格帯です。しかし11月までこれ以上の価格をキープするのは個人的には難しいのではないか?と思っています。しかし注目すべきポイントであることには間違いないでしょう。

現在は多くの国が次々とLockdownしています。外出禁止=経済活動停止→収入減少・失職・倒産・ローンの焦げ付き・財政発動・国債発行・借金増加・・・今まで経験したことのないほどの問題が並行してもしくは連鎖して勃発するでしょう。そこにオリンピック延期が加わるかもしれない、さらに信用市場から始まる破綻の連鎖が起きてしまうかもしれない、など考えるだけでぞっとします。

いま私たちにできることは相場に冷静に向き合うことと、コロナの感染拡大を食い止めるために自覚を持って行動することだと思います。頑張りましょう!