過去の暴落時の最初の戻り相場をチャートで確認する

ようやく暴落も一旦下げ止まり、初動の波からのリバウンドが発生しました。この記事を書いている段階で日経は底値から4,000円以上、ダウは3,000ドル以上の戻りがあり現在下降中。フィボナッチ・リトレースメントでは日経は38.2%超え、ダウは23.6%超えまでの戻りを確認しました。

今日は今回のコロナショック相場の暴落初動の相場がどこまで戻ってくるのか、過去の暴落相場ではどうだったのかをダウの日足チャートを見ながら確認したいと思います。

世界恐慌、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマンショックと比較

前回の記事世界恐慌など過去の暴落相場にコロナショック相場を当てはめてみる同様、上記4つの暴落相場の時にどうだったかを一覧表で記します。なお初動の起点と終点は私の主観で決めております。起点・終点については後述のチャートでもご確認ください。

どの相場も短期間で激しく下落したこともあり、戻りもしっかり出ています。表の一番下が戻り率です。下落幅に対して何パーセント戻したかを示しています。

世界恐慌では30日で-45%まで下落したものの次の約1か月で44%戻しています。

ブラックマンデーでは底打ちから1日で44%戻しています。その後、その底が大底だったことは前回の記事のチャートで確認しました。

ITバブル崩壊では初動の下落が54日かけての-17%。これはほかの暴落に比べると小さい幅(とはいっても大きい幅ですが)だったせいもあるのか35日で9割近くを戻しています。しかしそのあとは前回記事の通り底を打つまで約3年かけて下落トレンドを形成しました。

リーマンショックでは25日間で-31%と最初のきつい下落の後、4日間で54%を戻しました。実際は土日がはさまったので2営業日で54%戻したことになります。しかしそのあとも月足陰線を延々と続け底を打つまで1.4年かかりました。

これらに対して今回のコロナショックでは下落率は-38%とリーマンショックより下落しています。さらに2日で29%戻しはありましたが他の暴落相場に比べるとまだ戻りがあるのではないか?と見えます。しかし今回は世界の経済活動の多くが止まっている状態ですのでここで「初動の戻り」が終わってもおかしくありません。

では「初動の戻り」をチャートで確認します。前の記事で使ったチャートを背景に利用しています。

また以下の4つチャートはTradingViewのものを使用しています。 過去のデータをさかのぼるのにはかなり便利で動作も軽いです。無料プランもありますので興味のある方はこちらからどうぞ。

世界恐慌・チャート

1929 世界恐慌チャート

リーマンショックやコロナショック同様、日足の陰線がずらっと続いています。

Bで第一波の底を打ってCに到達するまでは8営業日まで連続陽線、そして3日間の押し目のあとの連続陽線で6日目で戻り相場が終わりました。

フィボナッチ・リトレースメントでも確認できます通り50%戻しにはあと少しということろで跳ね返されました。

ブラックマンデー・チャート

1987 ブラックマンデー・チャート

Bの一つ手前の日足が1987年10月19日のブラックマンデーの日足です。一日で22%もの下落を起こしたチャートです。そしてご覧の通りその日中に長い下髭を作り、翌日は半分以上を戻したところからのスタートとなりましたが一気に下げてBに到達するという恐ろしい相場だったことがうかがえます。

しかしCに戻った後もじりじりと下げていきますが結局この10月20日の安値がこの相場の底となりました。全体のチャートは前の記事をご覧ください。

ITバブル崩壊・チャート

2000年・ITバブル崩壊チャート

ITバブル崩壊の初動の下落は途中三回の自律反発を伴いながらの戻りそうで戻らないといういやな相場であったことがうかがえます。

しかし底値Bに到達してからは4度目の正直で売り買いが拮抗する中、本格的な戻りになり一気に上げていきました。下げの一波も長かったですが戻りも30営業日程度かけての戻りとなりました。

ちなみに、このように長いトレンドを形成した後に、このB地点のあたりで見られるようなもみ合いは、近い将来の反発を示唆することが多々あります。

リーマンショック・チャート

B地点に行くまでの4営業日の間は毎日がセリングクライマックスだ!と思ってしまうような、毎日下げ幅を拡大していく精神的にとってもきつい陰線の出方です。

そして戻りもその分派手になっており二日で50%を戻しました。しかしその後はご存じの通りトータルで54%の下落となる下降トレンドを2年近くかけて形成。今回のコロナショックはこれ以上になるだろうと言われていますがはたしてどうなるでしょう。

コロナショック・現時点のチャート


コロナショック・現時点チャート・2020/03/25

こうしてみると日経が40%程度戻したことは想定の範囲内と言えるでしょうし、ダウがまだ32.8%を超えてないことからダウはまだ戻りの余地があるのではないか?とも思えます。

しかし相場環境が過去の暴落相場とはそれぞれ大きく異なります。特に今回はどこまで経済が停滞するのか予測困難なうえに全世界に大きな影響が出ています。

そう考えると戻りはここまでで再び下落が始まってもおかしくありません。十分注意して相場を見ていきたいと思います。

フィボナッチ・リトレースメントを活用する

このように過去の暴落相場のチャートを確認しておけば、急落相場の初動のあと、どのくらいまで戻るのだろうかという心の準備、戦略策定につながると思います。

また強烈な買いが始まったときに乗り遅れて高値をつかまされることを防ぐことにも役立てられそうです。逆に戻りを売るときの目安にもなります。

これらの戻り具合をフィボナッチ・リトレースメントを使って数値化・可視化しておくこともいい方法だと思います。

ここではあえてMT5のスマホアプリでのチャートを表示しました。スマホアプリからでもフィボナッチはこのように簡単に引けますのでぜひ試してみてください。