MACDの基礎知識と使い方

2020-02-09

引越などの個人的な事情により久しぶり過ぎる更新となってしまいました。記事再開いたしますので今後ともよろしくお願いいたします。※昨日書いた記事を大幅修正して再びアップしました。


さて本日はMACDについて基礎的な知識をご紹介します。 MACDは上級者でも使われている人気のインジケーターの一つです。 ここではMACDの計算式やゴールデンクロス、デッドクロスなどについて解説したいと思います。

MACDとは

正式名称:Moving Average Convergence/Divergence Trading Method(略してMACD)
日本語訳:移動平均・収束拡散トレード法

二つの移動平均線( Moving Average )が近づいたり(収束= Convergence )離れたり(拡散=Divergence)するという意味です。ざっくりですが。

その使われる移動平均線ですが単純移動平均線SMA=Simple Moving Average)ではなく指数平滑移動平均線EMA=Exponential smoothed Moving Average)を使用しています。SMAは日足であれば日ごとの終値を足して単純に割るという算出方法ですが、EMAは過去のEMAを足していき最後に本日の価格を2倍して追加し平均値を算出します。つまり直近の値動きを重視して計算しているのです。このため単純移動平均よりも値動きに対してより早く反応するようになります。

SMAとEMAの違いはこちらの記事を参照 → EMAとSMAの違い

MACDのチャート

ここでは二つのチャートを表示します。左がMT5のスマホで見たチャート、右がヒロセ通商さんのLionFXチャートです。一般的なのは右側のLionFXのチャートです。

一番大きな違いはMACDの表示方法です。LionFXでは線表示ですがMT5では棒グラフ表示です。

そしてLionFXでは[MACD-Signal]の数値がヒストグラムで表示されているのに対しMT5では表示がありません

このためLionFXのような一般的な形式に慣れているとMTのMACD表示を[MACD-Signal]の数値のヒストグラムと一瞬勘違いしてしまう場合があるのでWeb検索で説明を読んだりする際にはこの点にご注意ください。

ヒストグラムについては別記事「MACDのヒストグラムをMT5/MT4で表示する方法」も参照ください。

さて、ではそれぞれの数値がどのように算出されているか見ていきます。

MACDの計算式

ぶっちゃけ計算式は覚える必要はありません。しかしその概念はざっくりつかんでおくと値動きに対するMACDの次の動きを予測するときに便利です。

MACD= 短期EMA-長期EMA
シグナル= MACDのSMA
※一般的なチャートのヒストグラム表示= MACD-シグナル

MACDの設定値

MT5のデフォルト値は以下の通りです。多くのFX会社さんのデフォルト値も同じ場合が多いと思います。もっと早く売買サインが欲しいからということで数値をいじる場合もありますが、設定値はデフォルトのままでよいと思います。

短期EMA=12
長期EMA=26
シグナル=9

MACDをチャートで理解する

では上述した設定をチャートで見てイメージしてみましょう。以下はドル円の日足チャートです。

MACD12日のEMAから26日のEMAを引いたものですのでわかりやすくなるように下のチャートには両方の移動平均線を表示してみました。→EMA12(赤)/EMA26(水色)

EMA12の赤線が水色のEMA26よりも上にいる場合、その幅が広がれば広がるほど、つまり直近の動きが強くなればなるほどMACDが高くなったり反転側に深くなったりしていることがわかると思います。この2つの移動平均線(EMA12とEMA26)をチャート内に表示することなくトレンドと強弱が視覚的にわかるように開発されたのがMACDです。そしてそのMACDの過去9日間の平均値がシグナルです。

  • MACD:12日EMAの値から26日EMAの値を引いたもの
  • シグナル:MACDの過去9日間の単純移動平均
  • EMA12がEMA26より上にあれば上昇トレンド、その逆は下降トレンドという風に環境認識する

MACDの売買サイン (ゼロラインでの転換)

ではこのMACDからどのような売買サインが見えてくるでしょうか?一緒に考えていきましょう。

まず2本のEMA線が交わるポイントを白丸で囲んでみます。次にMACDがゼロラインを挟んで反転しているA, B, C, D を見てみます。同じタイミングで反転していることがわかりますね。これは”MACD=EMA12-EMA26″で計算されているので当然ですよね。

そしてEMA12とEMA26が交差する点はMACDは”0”になります。これがゼロラインです。このゼロラインからMACDが離れる方向に動いているか近づく方向に動いているか、また上下どちらに位置するかで、上昇トレンド・下降トレンドを判断します。

さて、これを売買サインとして使ってみるとどうなるでしょうか?AとCは売りエントリー、BとDは買いエントリーとします。エントリーして2,3日以内に決済できれば利益確定することができそうです。(決済ルールや損切りルールも決めておきましょう) ※決済や損切りのルール作りに関してはまた別記事を書くとして、ここではエントリーだけに焦点を絞ります。

このエントリールールの場合、早めの決済、利幅もさほど狙わないというルールになりそうですがトレンドを確認してからエントリーするという点では堅実な手法と言えるかもしれません(決済と損切りのルールによる)。また初回エントリーとして使うのではなく利乗せのエントリーとして2回目3回目のエントリーで使うということも考えられます。

MACDの売買サイン(ゴールデン/デッド・クロス)

さて次に紹介するのはMACDで売買する王道のサイン、ゴールデンクロス・デッドクロスについてです。

クロスポイントAをもう一度よく見てみましょう。その4日前に売りエントリー出来たらなんていいんだろう?って思っちゃいますよね。でも天井で売って大底で買い戻すなどを狙っていてはトータルで負けてしまいます。確実に利益を取ることが大事です。でももう少し、、、って思ってしまいます。

そこで下の図のMACDのパートにある”X”と”Y”を見てください。これはMACDとシグナルがクロスするポイントでデッドクロスと言って売りサインとなります。ちなみに買いサインはゴールデンクロスと言って以下の事例では”B”と”D”と同じポイントになりました。

ゴールデンクロス:MACDがシグナルを下から上に抜けたポイント=買いサイン
デッドクロス:MACDがシグナルを上から下に抜けたポイント=売りサイン

※買いサインの場合はシグナル線が上昇方向、売りサインの場合はシグナルが下落方向にはっきりと傾いていてかつMACDとシグナルの差が広がっている方が信頼度があがります。

XはAよりも、YはCよりも早い売りサインが出ています。どちらもこのサインをもとにエントリーしていれば、少なくともこのケースでは少し利益を増やせる可能性があったことがうかがえます。

ゴールデンクロスについてはこのケースではB、Dと一致したので常にゼロラインの転換より早くサインが出るわけではないこともご理解いただけたかと思います。

ただしこのサインについても厳密にはどのようなタイミングでエントリーするのかは人それぞれです。

例えば、チャートの足が確定してクロスを確認したうえでエントリーするのか、クロスしそうだと思ったら確定する前にエントリーするのかでは、日足の場合最大2日間のずれ幅、つまり48時間のエントリーのずれ幅があります。

例えばチャートの足が確定してからのエントリーならばこの場合は日足チャートなので翌日となります。その翌日も朝一番なのか正午なのか、または別のインジケーターのサインを待つのかなど考えられるからです。

ルールはいくらでも複雑にできますがシンプルなルールがよりよいと思います。あとで見直すことが容易になる、失敗した時に取引ルールに修正を入れやすくなるからです。

MACDの売買サイン(クロスで売買する実例)

次はシンプルにゴールデンクロスで買ってデッドクロスで売るというルールの取引シミュレーションを見てみます。以下のチャートは去年の7月から9月頃のDowの日足チャートです。MACDは棒グラフ、シグナルは黄色の線です。

■例1:取引ルール

  • ゴールデンクロスでエントリーしてデッドクロスで利益を確定する
  • ゴールデンクロスもデッドクロスもチャートの足が確定したのを確認してから翌日の初値で売買する
  • 損切り設定なし(※実際は損切り設定入れてください)

■シミュレーション結果

  • 買いエントリー USD26,219 → 売り決済 USD26,861
  • 差額 USD642幅の利益確定 ※実金額は建てているロット数による

■所要期間:35日間

さてこうしてみるととても簡単に見えますがエントリーからクローズするまでの35日間の値動きから想定される心理を考えてみましょう。

エントリーした二日後には25,270まで下がっています。エントリーの26,219からは約1,000ドルも下げています。この暴落に堪え切れたでしょうか?この時点で含み損は相当出ています。しかもスピードが速いです。損切りを設定してなくてもどこかで慌ててロスカットしたかもしれませんね。

損切りのルールもしっかり決めておくことで慌てて取引することもなくなります。ロスカットの幅を大きく持たせたい場合はポジションを少なくしてレバレッジを下げるなど、しっかりと資金管理をすることが必要です。

MACDの売買サイン (ダイバージェンス)

個人的には最も重要なサインと思っているダイバージェンスについては別記事「MACDの売買サイン:ダイバージェンス/リバーサル」に詳しく書いていますのでぜひご覧下さい。

ダイバージェンスはクロスオーバーよりもサインが早く出る場合が多いのでうまく使えば利幅を伸ばすことができます。ただ早く反発する時もあるので損切りのポイントはしっかりと決めておく必要があります。

MACDの利点

MACDの利点は私見ですが以下ではないかと思っています。

  1. 他のインジケーターと比べてダマシが少ない
  2. 視覚的に判断しやすい
  3. 取引ルールを作りやすい

ダマシが少ないことは堅実な取引につながりやすいです。視覚的に判断しやすいことで判断に迷いません。それゆえ明確な取引ルール(MACDがシグナルを下回ったら売りエントリーなど)を作るのにも向いていると思います。

ちなみにダマシとは”買いサインが出たのに下降トレンドになった”などサインとは異なる方向に相場が動くことを言います。そういうダマシが少ないことについては過去のチャートでほかのインジケーターと比較検証してみるといいでしょう。

MACDは奥が深くエントリーとクローズの決済ルールも実は細かく設定できます。またボリンジャーバンドなどと組み合わせて取引ルールを設定すればより迷いがなくなると思います。


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